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ホラー小説「ぼぎわんが、来る」ネタバレ感想

ぼぎわんというコミュ力高い怪物が忘れた頃にある家族を訪問してくるお話です。

※途中から女霊媒師VS怪物みたいな、ラノベっぽいノリになる。

 

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▼以下は登場人物紹介という名のネタバレです。先に原作を読んでね!

 

 

【登場人物紹介】

田原 秀樹(35)・・・第1章の主人公。小学生の頃、祖父母の家で留守番をしている時にぼぎわんの訪問に遭う。恐怖の記憶も忘れかけた頃、勤め先でぼぎわんに再訪問される。最終的にぼぎわんに家の侵入を許し、頭と顔を食われて絶命。

 

秀樹の妻・香奈(32)・・・第二章の主人公。スーパーでパートしていたが出産を機に辞める。いいパパぶりっこで何の役にも立たない秀樹に嫌気がさしていたので、秀樹の死に清々しささえ感じる。第二章の最後でぼぎわんに最愛の娘を目の前で奪われ、気が触れて精神病院に収容される

 

田原夫妻の娘・知紗(2)・・・人見知りの2歳児。ぼぎわんに連れ去られたり、浮遊霊に体を乗っ取られたりする。第三章で琴子と野崎により救出されるが、新生ぼぎわんになる素質があったようで多分最後の方でぼぎわんになったっぽい。

 

秀樹の祖父・銀次・・・ぼぎわんが幼い秀樹に接触を試みた際、寝たきりの状態ながら追い返した。若い頃に志津との子供を虐待死させた過去があり、長年恨みを募らせた志津によって呪いを受け、衰弱死した。

 

田原の祖母・志津・・・ちゃきちゃきした元気な年寄りで銀次の介護も積極的に行っていたが、その実子供を二人も死なせた銀次を長年呪っていた。ぼぎわんを呼び寄せた張本人。

 

唐草(35)・・・秀樹の幼馴染で独身の民俗学者。快活で真面目な顔とは裏腹に子供を持つ家族に強い嫌悪感を抱いている。秀樹の死後は香奈との急接近を試みるも拒否され、逆恨みしてぼぎわんの侵入をほう助する。自分的にはこの人が秀樹の次にいキモい。この人の闇に比べたらぼぎわんとかまだ可愛い方です。

 

 

比嘉 真琴(26)・・・女性霊能者でフリーター。髪をピンクに染めている。少し変わり者だが純粋で、子供好き。ぼぎわんから知紗を守りたいと思っている。実は子どもが産めない体で、そのこともあって知紗に思い入れしている。

 

野崎(32)・・・第三章の主人公にして敏腕オカルトライターで真琴の恋人。無精子症で子どもを設けられないことにコンプレックスを感じていたが、ぼぎわんとの対決を通してそんな自分自身をも受け入れられるようになる。

 

比嘉 琴子(30代)・・・最強の女性霊能力者で真琴の姉。この人が第三章で登場してから一気にラノベっぽくなる。警視総監と直につながりがあるほどの実力者で、第三章から野崎と組み、ぼぎわんを迎え討つ。(雑魚霊たちが彼女の名を聞くだけで恐れ逃げていく描写は完全にギャグです。)

 

逢坂(50代)・・・強い力を持つ霊能力者だが、ぼぎわんと対決して惨敗。右腕をもぎ取られ死亡する。

 

高梨・・・秀樹の同僚。ぼぎわんと会話をしてしまい、腕を噛まれた挙句衰弱死する。

 

 

ぼぎわん・・・強力な化け物で、並の霊能者では歯が立たない。ぼぎわんの名は、ブギメやブギーマンなどから派生したと言われている。おやまと呼ばれる異界に住み、人を呪う感情を感知すると家にやってきて子供をさらう。

長い髪に灰色のシルエットを持ち、巨大な口には無数の歯が並んでいる。これに噛まれると致命傷でなくとも傷口から障気が入り込み、やがて死に至らしめる。

 

 

【雑なあらすじと結末】

最後の方で琴子(女性霊能力者)とぼぎわんが対決するんですが、肉弾戦になって琴子がぼぎわんを滅します。

 

というかぼぎわんは怖くないんですよ。怖いのは実の子ども2人を死なせたにも関わらず裁かれることもなくのうのうと生きてきた祖父や、風俗に通い会社で女性社員を食い散らかしつつも良いパパぶる秀樹です。

 

作者の澤村氏は、気持ち悪い人の描写を描くのがうまい印象でした。わかりやすくおかしい人じゃなくて、よく行動を観察してたらあれ?なんかキモくね?みたいな人。

善良な市民の皮を被ったモラハラ野郎の気持ち悪い行動を書くのが上手い。 

 

とくに第一章は秀樹目線でぼぎわんの怪異が語られるため、”家族を守るために戦ったパパがぼぎわんに殺害される” という恐ろしさのみが残る。

 

それが第二章の妻視点になって初めて、秀樹の非常識さやキモさ、正直子どもにとって害になるモラハラ行動などが見えてきます。

 

さらにこの「別の人間から見た全く異なる人物像」が、秀樹や野崎など各章の主人公においてだけではなく、幼馴染の唐草や霊能者の真琴、優しかった祖母など他のキャラクターにも現れてくるのです。

 

最初は全く謎の、ただ怪異としか言いようのなかったぼぎわんまで、最終的になんかかわいそうな化け物というイメージに変化しますからね。

 

ぼぎわんは普通に人語を操るし何ならスマホに電話もかけてきます。尊敬語や謙譲語もマスターしていて最後にあっとサプライズしたりするお茶目な一面もある。化け物って文明の利器とか疎そう、というか喋らなさそうという思い込みをぶっ壊します。

  

ちなみに何の目安にもなりませんが、私的怖い度は「夜中にシャンプーはためらわれるけどお風呂には入れる程度」です。

 

▼夏の終わりに怖い本でも読んで(一人で)盛り上がろう!と思って買いましたが、正直図書館で借りられるなら買わなくていいです。

ぼぎわんが、来る (角川ホラー文庫)

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▼私的怖い度はこちらの小説の方が上回ります。風呂もトイレも無理レベル。

怪奇小説傑作集 1 英米編 1 [新版] (創元推理文庫)

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