ジャパニマフランス

フランスプチ引きこもり生活ブログ。時々映画レビューも。

百日紅さるすべり〜Miss HOKUSAI〜【”あざとい”男ってこんな感じだよね・・。】

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2015年 90分/日本

監督/ 原 恵一

原作/ 杉浦 日向子

脚本/ 丸尾 みほ

声の出演/ 杏/ 松重豊/ 濱田岳/ 高良健吾/ 美保純

 【予告編】


映画『百日紅 ~Miss HOKUSAI~』予告編 - YouTube

【↓以下雑なあらすじとネタバレです。原作を読んでから観るほうが楽しめるかもね!?】

百日紅 上・下 全2巻セット (ちくま文庫)

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杉浦日向子の「百日紅」が原作、江戸の情緒が詰まったオムニバス風映画。

天才絵師・葛飾北斎の娘、お栄(えい)が物語の主人公です。彼女は繊細な絵を描く絵師にして、北斎の弟子。序盤ロックなBGMが流れ、お栄がさっそうと江戸の町を歩くシーンがかっこいいです。

全体としてアニメーションは手書きっぽいですが、川や大橋、背景がたまにCGです。CGが手書きの画にちょっと浮いてるのが残念。

お栄の実家には百日紅の花が満開に咲いています。お祭りのようにパッと賑やかに咲いて、はらはらと散っていく様が物語の行く末を暗示しているようでした。

 

お栄の父・鉄蔵(北斎)は、描く以外のことに興味がない一見普通のおっさん。妻帯者なのに長屋で一人暮らしをしている自由人です。お栄に一目惚れした国直、鉄蔵の長屋に入り浸っている善次郎など、若手絵師の面々も楽しい。北斎の弟子で実力派絵師の初五郎は、お栄の片思いの人。この男が・・・あざといんですよ。

”あざとい”って言葉、女性によく使われますが、男性版あざといのがこの初五郎です。狙ってるわけでもないのに確信犯的な感じ。

1.話してるとき距離が近い。

2.女性の顔に墨とかついてたら手で(つとめてさりげなく)拭ってやる。

3.と同時に「折角のきれいな顔がもったいないですよ」とかサラッと言っちゃう。

4.雨降ってたら相合い傘してくる。(つとめてさりげなく)肩を抱いてくる。

お栄に惚れてる国直にしとけ!純朴そうやし!と叫びそうになります。

 後日初五郎に彼女がいることを知ったお栄は、ヤケで男娼の店に入ります。

この映画はフランスの映画館で観たんですけど、前列にフランス人の上品そうな家族が居たんですよ。10歳ぐらいのかわいい男の子も観てたんですけど、・・・男娼の店で女装した男の娘・客は寺の坊主・尻が痛いとか言ってる・・。このカオスなシーンをどんな気持ちで観てたのか気になります。

お話は全編に渡って繋がりがある、オムニバス式です。

龍が降りてきた瞬間を狙って絵に描いたり、首が伸びるという花魁を一晩監視したり、地獄絵に悩まされる奥方が出てきたり。テンポよくお話が変わるので飽きません。

で、ここで物語に号泣エッセンスを加える人物、お栄の妹・お猶(なお)の登場です。生まれつき病気で盲目のお猶との交流を通して、江戸の風情や風物・におい、音までこちらに伝わってくるようでした。

このお猶がね・・・「千と千尋」のハクと外見がかぶるのは私だけでしょうか?観ていてたまに性別がわからなくなります。お猶は、自分は死んだら地獄に行くとか言うんですよ。全力でそんなことは無ああいいいっ!!と言って抱きしめてあげたくなります。

 【↓上:お猶 下:ハク すいません似てるのは髪型だけでした。】

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お猶の病状が良くないことを憂う母の琴は、良いことをすれば娘の症状が良くなるかもと、雀売りに囚われている雀をすべて逃がしてやります。雀を捕まえて逃がすだけの商売なんてあるんだ・・!!(衝撃)

病人が、というか死が怖い鉄蔵(北斎)は、長らく会っていなかったお猶を訪ねます。鉄蔵がそばに行くと、父が会いにきてくれたと喜ぶお猶。お猶が臥せったまま両手を鉄蔵の頬に伝わらせたとき、鉄蔵は何かを感じ取ります。死ぬことによって描けなくなることが怖い彼は、自分がいつまでも生き続けられる方法があると気づくのです。絵に自身の魂を込めるのだ。その絵は何年も、何百年も生き続けると。

【↓上記の印象的なシーンを描いてみました。】

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 お猶の具合が目に見えて悪くなってきたある日。お栄と鉄蔵の長屋にやってきた善次郎が、先ほど長屋に入ってきた幼い女の子は誰かと問います。お猶の魂が体を抜けていると感じ取ったのか、あわてて様子を見に行くお栄。そのとき一陣の風が長屋に入り込みます。まるで姉と父にさわやかなお別れを言うように。


お猶の生前、一緒に歩いた大橋で空を見あげながら、おまえがいるところは地獄なんかじゃないと言うお栄。

そしてエピローグ。鉄蔵は90歳でなお絵に対する情熱を持ち続けながらも往生し、お栄は一度結婚するも出戻り、その後姿を消したということです。

声優はお栄に杏、鉄蔵こと葛飾北斎に松重豊、善次郎に濱田岳など、個性豊かな俳優陣。特に声に違和感を感じること無く、楽しんで観られました!

【↓良い映画でした・・。】

百日紅~Miss HOKUSAI~ [Blu-ray]

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 【↓原作の漫画。漫画家であり江戸の研究者だった故・杉浦日向子さんによる渾身の作品。】

百日紅 上・下 全2巻セット (ちくま文庫)

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 【↓同作者による、第13回日本漫画家協会賞優秀賞作品。上野戦争で散った若き彰義隊員たちの命を、漫画の走馬灯に乗せておくります

合葬

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