雰囲気怖い映画を撮らせると右に出るものなし、黒沢清監督のホラー映画、CURE(キュア)のネタバレ感想です。
青髭と言う殺人者に会い、自らも青髭を殺して殺人者になってしまう娘。
冒頭にこの文章が表示されます。ミイラ取りがミイラになる的なこと?
この映画の行く末を暗示しているようです。
▼コトバンクからの引用。
ミイラ取りがミイラになるとは?
はじめは相手に働きかけようと出かけた者が、逆に相手にとりこまれてしまうことのたとえ。
▼予告編です。
冒頭で殺人事件がおこります。被害者はみな一様に、首や胸をバツ印に切り裂かれている。
一連の殺人が連鎖していることを調査する、刑事の高部(役所広司)。
場所は変わって、海辺。
間宮と名乗る、記憶喪失の男(萩原聖人)と知り合ったある男性。訳ありの間宮を一晩家に泊めることにする。
しかし次の日の朝、男性は同居の妻を殺害し、自らは窓から飛び降りて自殺した。
その場にいたということで、参考人として交番に連行される間宮。
間宮は交番でも巡査(でんでん)に催眠をかけ、巡査は同僚を拳銃で射殺。その後自殺してしまう。
でんでんが出て来た途端、絶対なんかやらかすと思ったよね。映画「冷たい熱帯魚」で、でんでんにトラウマを植え付けられたので。
▼冷たい熱帯魚のネタバレ感想はこちら。
病院に侵入した間宮は、院内にいた女医に催眠をほどこします。案の定、女医は公衆トイレで殺人をおかしてしまう。
ようやく間宮を捕まえた刑事の高部(役所広司)。彼には精神障害を持つ妻がいます。
高部はそんな妻を献身的に支えながらも、心のどこかで負担に思ってしまう。ストレスで妻が首吊りする悪夢を見たり、晩ご飯のステーキ肉を壁に叩きつけたりしてしまう(笑)
急にステーキを壁にビッターンっっ!!てするんですよ。笑うところではないんですが、なんかシュールな絵面。
高部の同僚・佐久間(うじきつよし)が高部に、間宮に接触しないよう警告する。しかし佐久間もいつの間にか✖️の催眠にかかっていたようで、自殺してしまいます。
今まで高部とふっつーに会話していたのに、急に「間宮は救済の医療催眠を施している」と言い始める。そうかと思ったら、佐久間の部屋に✖️印が書いてあるんですよ。
最終的に高部は間宮にいざなわれ、廃れた診療所で呪いのラジオを聞いてしまう。このラジオがめちゃ怖。
呪いそのものとしか形容できない内容なんですけど、おじいちゃんが医療催眠について語っているんですよね。で、知らないうちに自分にも催眠がかかっていて、間宮を射殺する高部。
高部が死の催眠の新たな伝道師となってしまうのです。
その後、以前とは別人のように元気になる高部。悪夢も見ないし、しっかり食事もできるようになります。しかし精神病棟に入院している奥さんのバツ印の死体が発見される怖い。
死体の登場の仕方が怖いんだよ〜
だって誰も推してない車椅子に妻の凄惨な死体が乗せられていて、ギイギイいいながら病院内の廊下を移動してるんだぜ?
そしてラストシーンは、ファミレスにて。
高部に関わったウェイトレスが急に人が変わったようになり、手に包丁を持ちます。殺人の催眠暗示は継承されていることを示唆してEND。
個人的には、画面の隅っこになんの気なしに存在するバツ印とか、病院内を徘徊する車椅子に乗せられた死体とかがめっちゃ怖かったです。
▼心霊は出て来ませんが、不穏な空気がとにかく怖い映画。黒沢清監督のホラー映画はハズレなし!
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