原題:FOUND
2012年/ カナダ/ 103分
出演者:ギャビン・ブラウン/ イーサン・フィルベック
監督:スコット・シャーマー
【あらすじ】
人は誰でも何か秘密を隠している。ママはベッドの下に大量のラブレターを隠している。パパはガレージにポルノ雑誌を。そして兄のスティーヴは、カバンの中に生 首を隠している。
狂っているのは世界?サツ 人鬼の兄?それとも・・。12歳の少年の目から見た理不尽で残酷な日常を淡々と映し出す、問題作。
本作はサツ 人鬼の兄を持つ少年目線で物語が進みます。途中出てくるスナ○フフィルムっぽい映像がとにかく強烈。
とくに犯人が自 慰のためにシ 体の頭部を利用するシーンがグロ注意です。しかも首の切断面を使うよ!
サツ 人ビデオとかサツ 人鬼の兄の犯行現場とか血生臭い演出が続きますが、この映画はホラーの皮をかぶった人間ドラマです。
【↓以下は映画のネタバレがあるので、まだ観ていない人は気をつけてね!】
まず主人公のマーティを取り巻く登場人物たちが微妙な性格のクソさです。めっちゃ極悪人が出てくるとかではなく、日常に紛れる性格の悪い奴らが頻出します。
マーティが学校やその他同年代の子どもと関わる場所でじわじわと嫌な目に遭います。周囲にいる大人たちもみな綺麗事を並べてマーティに我慢を強いる。
あまつさえマーティがいじめっ子に反撃したときでさえ、大人達はその行為を非難するのです。
マーティは常に理不尽の憂き目に遭います。
具体的に言うと、
- 全身から”邪悪”というオーラを漂わせている同級生に性的ないじめに遭う。
- 教会のクソガキにネチネチと嫌がらせされる。我慢の限界でやり返したマーティが逆に大人達から責められ、謝罪を強制される。
- 唯一友達だと思っていたクラスメイトから見下され、バカにされる。
という具合です。
あと、マーティが反撃するに至るまでの経緯を全く考慮せず、結果としての暴力の不当性のみを糾弾するアフリカ系の神父とかもすごい精神にキツい。なんも知らんお前に説教されたないわ!みたいなね。
唯一マーティを庇ってくれたのは連続サツ 人鬼の兄・スティーヴでした。なぜかまともな人間に見えてくる不思議。
しかし最終的にスティーヴはマーティを拘束し、隣室で両親をごう 問にかけサツ 害します。ごう 問の詳細は映っていないのですが、翌朝弟が目を覚ますと枕元に両親の生 首が。
かなりきつい絵面になっています。(しかもマーティの両サイドにひとつずつ配置)
【↓以下は登場人物の雑な説明です。】
マーティ:本作の主人公。気弱な性格で、クラスメイトからいじめにあう。やられっぱなしだったが、兄の影響で反撃することを覚える。
スティーヴ:マーティの兄で連続サツ 人鬼。犯行の際はガスマスクを着用する。弟が自分の犯行に対して感謝したことによって、弟だけは絶対に傷つけないと誓う。
仕事をしているようだが、詳細は一切不明。社会に怒りを感じており、アフリカ系の住民をターゲットにしている。
リサ:マーティの母親。家族の和に馴染もうとしないスティーヴに戸惑い、従順なマーティに安堵している。普通の兼業主婦。世間体を気にしており、悪目立ちしたくない。
スタンリー:マーティの父親。反抗的な態度のスティーヴに苦言を呈す。いじめを受けたマーティを映画に連れていくなど、気には掛けている様子。普通の父親。しかしこう、母親もそうなんだけど第三者目線で見ていると、「この人たちと家族になったら、この人たちの中にある倫理観と理想の中で息してないとダメだな」とは思う。
マーカス:マーティを執拗にいじめるアフリカ系の児童。教師への態度もふてぶてしい。こいつは早い段階でスティーヴにより生 首になる。
トレヴァー:同じ教会に通う児童。こんな底意地悪そうな外見の子役どっから見つけてきたんや。大人たちに隠れてマーティに嫌がらせを繰り返すが、反撃され涙目。
デヴィッド:マーティの唯一の友人(?)というテイだが、ホラー趣味が一致しているだけで本当の友なのかは謎。しばしばマーティを見下す。
最終的にマーティにより被害者(マーカス)の生 首を見させられ、気分が悪くなり帰宅した。
問題のスプラッタービデオのシーンは演出こそ激グロですが、チープな作り物感が出ているのでそこまで気持ち悪くなりません。
冒頭にも書きましたがこの映画の本質はホラーではなく子どもの世界を蹂躙する理不尽です。それこそがある意味ホラーかもしれません。
後半、兄が血 みどろ祭りを繰り広げるあたりはある種のカタストロフィがあるので、一件の価値ありです。
【↓実際の兄はこんなにムキムキではない。手にしている頭部はマーティぽいですが、劇中で兄が弟を手にかける描写はありません。】
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