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フランス映画「アン・オフィサー・アンド・ア・スパイ」J'accuse(ジャキューズ)ネタバレ 感想

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アン・オフィサー・アンド・ア・スパイ

原題:J'accuse(ジャキューズ)

126分/ フランス映画

監督:ロマン・ポランスキー

原作:ロバート・ハリス

製作:イーラン・ゴールドマン

出演者:ジャン・デュジャルダン(ジョルジュ・ピカール大佐役)/ ルイ・ガレル(アルフレド・ドレフュス大尉役)/ エマニュエル・セニエ(ポーリーヌ・モニエ役)

制作会社:ゴーモン/フランス2シネマ/フランス3シネマ/ライ・チネマ/canal+

 

【予告編】


An Officer and a Spy / J'accuse (2019) - Trailer

 

【あらすじ 】

第二次世界大戦の直前、フランスで実際に起こった第3期軍隊による当時最大のスキャンダル:ドレフュス冤罪事件を基に製作されたノンフィクション映画。

ユダヤ系大尉アルフレド・ドレフュスがドイツ軍のスパイ容疑をかけられ、不当に投獄される。事件に不可解な点を見つけ、真犯人を突き止めたフランス人大佐ピカールが軍隊、司法の腐敗を暴き、件のドレフュス大尉を無罪放免させるべく奔走する様を描く。

原題のJ'accuse(ジャキューズ)とはフランス語で弾劾(だんがい)の意があり、仏人小説家エミール・ゾラが大統領宛てと称し当時の新聞紙に実際に寄稿した質問状のタイトルである。

 

ここから雑なネタバレ感想↓

 

舞台はドレフュス大尉がパリの広場で糾弾され、サーベルを折られて除隊されるシーンから始まります。

除隊を宣告され、集まった民衆に晒されながらも身の潔白を叫ぶドレフュス。以降、二度目の審判でパリに戻るまでの5年間、妻子に会うことも許されず劣悪な環境下で投獄されることになります。

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▲1980年代の絵画に残された場面を映画で完全再現しています。

 

ドレフュスに教鞭を取ったことのあるピカール大佐は事件に疑問を抱く。自身の配属先が変わったことをきっかけに、徐々に真犯人がいることを掴み出したピカール。しかしドレフュスの無実を確信すればするほど、信用していた上司に裏切られ、証拠を隠蔽され、軍の陰湿で強大な力を目の当たりにしてしまうのです。

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▲ドレフュス(左)を教えていた頃のピカール(右)。ドレフュスに採点について意見を求められると、ピカールは「ユダヤ人は好きではないが、それによって成績を不当に下げるようなことはしない」と言い切ります。

 

そうこうしている間にも時は過ぎ、2度目の審判でドレフュスは憔悴し切った姿を見せます。頬はこけ、白髪が混ざり、当時実年齢の39歳よりずっと老け混んでしまいます。しかしそれでもはっきりと再び、自分は潔白だと宣言するのです。

 

裁判中、ピカール側の弁護士が暗殺されます。犯人はとうとう見つからず、ドレフュスの身の潔白を証明できないとしてさらに9年服役。

唯一のユダヤ系という理由で実に14年もの間ブラジルの島に投獄されていました。

その後奇跡的に軍隊に戻ってからは以前より高い役職につき、最終的に中尉になります。

 

ピカール大佐は一時閑職に回されるも最終的には軍の高官になり、復帰したドレフュス中尉と一度だけ面会します。ドレフュスは無実の罪で投獄されていた間に本来ならば更に高職につくことができたはずなので、自分の地位を上げるよう、ピカールに要求します。

しかしピカールはそれを断る。

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▲散々な目に遭っているドレフュスの要求であっても、納得できなければ即断る!

 

自分の同僚の高官たちはいまだユダヤ系反対派で、自分の力ではさらに地位はあげられないと言うピカール。「やはりユダヤ系は好きではないが、ドレフュスを助けようと尽力したのは正義は平等であるという真理に従ったまでのこと。」
すでに軍隊に復帰し、中尉になったドレフュスをさらに上の役職にあげる気はないと告げます。
なにげに劇中2度も「ユダヤ人は好きではない」と宣言しているピカール。
この強気なキャラクター、
ユダヤ人を擁護したとの世論で街で突然殴りかかられたり、フェンシングの試合で相手に殺す気満々で来られたりしますが渾身の力で殴り倒す・躊躇なくサーベルでブッ刺すので悲壮感が全くないです。
 
アパルトマンの自室を軍警察に荒らされてもほぼノーダメージ。ぐちゃぐちゃになった部屋の中でピアノをひいて落ち着きます。さらに愛人との手紙を没収されても取り乱したりしない。
普通の人ならドレフュスを擁護したことを後悔する展開すが、ピカールは全然平気です。
肝心の投獄されたドレフュスが心配ですが、あまり出番はなかった。家族とか迫害されて大変だったろうに、そこは映らないので視聴者側の心理的負担は軽減されています。
 

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▲エミール・ゾラがオーロール紙に寄稿した【 j’accuse..! ジャキューズ 】。この寄稿がきっかけで、ユダヤ系反対派と擁護派がわかれます。住民に著作物を燃やされるエミールゾラ・・。

 

ピカールに賛同した作家のエミール・ゾラは軍高官を弾劾した記事を書きますが、新聞が世に出回るやいなや訴えられる(笑)

しかも裁判で負けて約3000万フランの罰金と服役を言い渡されます。ノンフィクションなのでそこまでスカッとする展開は無し。

ドレフュスを犯人に仕立て上げた軍の高官たちが胸糞です。彼らはエミールゾラの寄稿で名指しされて一瞬恥かく程度。

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▲持ってたコーヒーカップを取り落としちゃう程度には恥をかきます。ドレフュスの投獄14年と代わってやれ。
 
2時間半ありますがしんどくなく最後まで観れます。ノンフィクションて私は苦手なんですけど(胸糞展開が)これは当のドレフュス大尉が投獄された以降あまり出番がないし、ピカール大佐は淡々として強いからあまり悲壮感なく見れました。
 
それより気になったのがポランスキー監督。劇中舞踏会のシーンでちょっと出てきますが、アメリカでペドファリア&レイパーとして出禁なんだってね。何回も「ロマン・ポルノスキー監督」空目してしまう理由はココか?
 
フランスは入国オッケーだったからお礼にフランス軍のスキャンダル映画作ったとしか思えない。すごい才能の監督だけどレイパーは死刑でいい。というかこの人をJ’accuse(弾劾)したらいい。


最後にエミール・ゾラが新聞に寄稿した【J'accuse..!(私は弾劾する!)】の一部を載せておきますね。完全版はここで読めます。

J’accuse le lieutenant-colonel du Paty de Clam d’avoir été l’ouvrier diabolique de l’erreur judiciaire, en inconscient, je veux le croire, et d’avoir ensuite défendu son œuvre néfaste, depuis trois ans, par les machinations les plus saugrenues et les plus coupables.

私はパティ・ド・クラム中佐が司法の悪魔的誤審の手先であり、3年前からこの恐ろしい陰謀を進め、司法の有害な行いを擁護さえしていた犯人であることを非難する。

 

 ▼DVD出てますがフランス語です。たぶん字幕英語で観られると思います。

 

www.amazon.fr

▼エミール・ゾラが書いたJ'accuse(弾劾する)。参考までにどうぞ。

J'accuse

J'accuse

  • 作者:Émile Zola
  • 出版社/メーカー: Independently published
  • 発売日: 2019/03/09
  • メディア: ペーパーバック