2001年 日本(118分)
監督:黒沢清
製作総指揮:徳間康快
撮影:林淳一郎
出演:加藤晴彦/ 麻生久美子/ 小雪/ 有坂来瞳/ 武田真治/ 風吹ジュン/ 役所広司
【あらすじ】
「幽霊に会いたいですか?」ー 同僚の田口の自殺を皮切りに、ミチの周辺では身近な人たちが次々と黒い影を残し姿を消していく。大学生の川島は奇妙なサイトにアクセスしてしまったことから、幽霊を度々目撃するようになる。
不気味に変容しはじめる世界。不可解な行動をとり始める人々。
ある作業員がアパートの窓を赤いテープで囲う。その行動が意味するものとは。
あの世とこの世の「回路」がつながり始める・・。
【予告編】
海外にも多くのファンを持つ黒沢清監督の難解不気味映画、「回路」。
難解と書きましたが正しくは、「特に意味のない話にホラー要素を詰め込んだ」感じです。
私はぼんやりホラーと呼んでいます。
以下雑にネタバレしてますので、未鑑賞の方は先に映画を観ることをお勧めするよ!
無断欠勤の続く同僚・田口の部屋を訪れた、会社員のミチ(麻生久美子)。田口は部屋にいたものの、明らかに様子がおかしい。そしてミチが目を離した数分の間に、田口は首吊り自殺をしてしまう。
田口の残したパソコンで幽霊の映像を見てしまったミチの同僚・矢部。なぜか赤いテープで囲ってある”開かずの間”に入り、そこで幽霊に遭遇する。
▼明らかに開けたらあかん系の扉が遠くに見える。
この矢部くんが遭遇した幽霊が、すごいリアルで不気味です。(私は実際に幽霊を見たことがないのでリアルかどうかわからないんですけど)・・こう、ス〜ッとすべるように近づいてきて、急にガクッとずっこけたみたいな動きをする。
その動きを見て、「うわあぁ!怖わっ!」と感じるか、「コンテンポラリーダンスかよw」ってなるかで、この映画に対する個々人の恐怖度が変わってきます。
私はその動きが奇妙に怖かった。
しかもこの映画の幽霊は触れるんです。
その後も不特定多数の幽霊が特に己を主張することもないまま出てくる。
視界の隅ギリギリを縦横無尽に横切る霊たち。見て欲しいんか見て欲しくないんかどっちやねん。(たぶん見て欲しそう)
加藤晴彦扮する大学生の川島は、幽霊の出るサイトにアクセスしてしまう。
パソコンの画面に顔をビニール袋で隠した男が出てきて、おもむろにビニール袋を取ろうとする。
えっ!こわ!やめて顔見せないで!ってなりますよね?
加藤晴彦も「うわっ!!」って叫んで慌ててパソコン切ってた。
しかもこれを映画後半、小雪でデジャヴします。
▼顔のビニール袋を取ったら小雪だった。こんなに不気味な絵面もそうそう無いよね。
この映画はほぼノンストップで不気味シーンをぶつけてくるんですが、中でも「これ嫌だなあ」と思った場面をざっとご紹介します。
1. 図書館で子どもの霊がじっとこちらを見ている。
2. 銭湯の煙突みたいなところから女性が投身自殺する。
3. ゲームセンターでおもむろに幽霊に遭遇する加藤晴彦。ゆっくりとこちらを振り向く幽霊がグニャグニャした動きで怖い。
4. 霊に魅入られたジュンコ(有坂来瞳)を自宅介護するミチ。おかゆらしきものを与えるも、 ジュンコは「助けて・・助けて・・」と繰り返すばかりで会話にならない。もうご家族の方呼ぼう?
5. 有坂来瞳とエミリー・ブラントが激似。
さらに言うとこの映画は、霊に遭遇してからの死亡パターンが二極化しています。
パターンA: パソコンで死者の映像を見てしまい、見た人はその後自殺する。
パターンB: 開かずの間に入って待ち構えていた幽霊に遭遇する。幽霊の顔をガン見してしまう、からの自身も徐々に影になって消滅。
開かずの間はご丁寧に赤いテープで閉鎖してあるにもかかわらず、なぜかテープを引っぺがして入り込み、幽霊に遭遇してびっくりする人々。だから霊が出るから開かずの間や言うてるやろぉ!(怒)
幽霊化した武田真治が機械ヴォイスで「永遠に続く、孤独」とか言いつつ迫ってくる。
この機械ヴォイスは映画「IZO-以蔵-」で荷車に乗りながら機械ヴォイスで迫ってくる内田裕也を彷彿とさせます。ヴィジュアル+αでたぶん内田裕也の方が怖い。
▼映画「IZO-以蔵-」私のネタバレ感想はこんな感じ。
www.japanimafrance.com
最終的に街には誰もいなくなり、車でどこかへ逃げようとするミチの上空を飛行機が墜落していく。この飛行機墜落シーンが悲しいほどCG感満載です。もっとCG組にお金かけられへんかったんかな?
映画終盤1分ぐらいで唐突に役所広司が出てくる。お船の船長さん役なんだね。
この船に乗って、「生きている奴らを拾いながら行けるところまで逃げてみる!」とか言い出します。船長だけにホラーから逃避行ものに舵を切ってEND。
▼一時期、加藤晴彦がめちゃくちゃテレビ露出していた頃の名残映画です。