本日ご紹介するのは大石圭氏によるホラー小説・「湘南人肉医」。
カニ バリズムに快楽を得る、物腰柔らかな食 人巨漢男の話です。
↓以下は雑にネタバレしているので、未読の方はご注意ください。
ーーーーーーー【▼以下ネタバレと感想です】ーーーーーーーー
「人 肉×医者」と言う超絶不穏ワードが並ぶこの小説。はじめに言いますがあんまり怖くありません。
その理由は順を追ってを説明します。
まず、食 人巨漢男のターゲットは女性。
最初のエピソードは狩られる側の女性目線で話が進みます。この時点では食 人男が紳士に振舞いつつその異常性を垣間見せるので、まあまあ怖いです。
気に入った女性に近づき「あなたを食べたい」と誘いますが、女性はベッドへの誘いだと勘違いし物理的に食べられるとはつゆ程も思いません。
しかし二章目からは目線が食 人男本人に変わる。
そこでなんだか怖くなくなるんですよ。
たぶんこの食 人男の設定に一貫性がないからだと思うのですが、
とにかく個人的にこの小説が怖いのは第一章目だけです。
この巨漢男は「シ 姦する奴なんてとんでもない」みたいに、某・蒲生稔をさらっとディスったりする。
そのわりに「愛してる」とつぶやいてから全体重を被害者に乗せて絞 サツするあたりはまんま蒲生稔です。その蒲生稔でさえも自分的にはエドモンド・ケンパーなのですが。
【↓以下は一読すると怖そうだけどもその実、怖さをぶち壊しに行ってるポイントをご紹介します。はりきっていきましょう!】
【怖さぶち壊しポイントその1】食 人男に設定盛り込みすぎ問題
ー 幼い頃は大人しく何をしてもパッとしない子どもだった。
ー しかし急に砲丸投げに目覚め、全国大会を制覇する。
ー 子どもの頃に騙されて猫を食 べさせられた。
ー 不思議な老婆から”何万人もコロ す権利”(?)を手に入れた。
ー 浄化水槽に毒 物を入れた過去がある。
ー 神の手を得て整形外科医になった。
ー 君を食べたい(ニッコリ)とか言い出すサイコ野郎かと思えば、食 人の際には”こんなことはやめなければ・・”と自責の念にかられ、世界の貧しい子供たちを20人ぐらい養子にする。
犯人の性格設定がしっちゃかめっちゃかな印象です。
おどろおどろしいエピソードが山盛りなんですけど、”これは誰の話なんだろう?”と考えてしまい、話に入り込めません。
【怖さぶち壊しポイントその2】いらんエピソードがてんこ盛り
ー 被害者の肉とは知らず人 肉を食べる刑事。
ー この刑事はのちに人 肉の味が忘れられず、犯人の食 人男にどこであの謎肉を買ったのか電話してくる。暇か。
たぶん本職の刑事さんはサツ 人事件の参考人の家で出された謎肉は食べないし、その謎肉を買いたくて犯人に電話もしてきません。
ー 犯人は食 人の際に被害者のチチから癌細胞を発見し、焼いて食べる。
ー 26万円のお小遣いをもらうために、初めて会った男の前で全 裸になり、首にロープをかけて指示された通りに自らの立つ椅子を蹴り倒す女子高生。
小遣い欲しさにセルフ首 つりする女子高生っているのかな?巨漢男の圧倒的物腰の柔らかさと金持ち感に感覚が麻痺して言いなりになってしまうらしいけども。
端的に言うと、事件になんの因果関係もない不気味エピソードの多さで疲れてきます。
物語の最後のほうで食 人男が破滅に向かう伏線が入ります。
食 人男が近所の赤子(女の子)をさらってきて自宅で育て、時が経ち赤子は小学生ぐらいまで成長します。
この子が食 人男の生 首コレクションに嫉妬を感じ、生 首の一つを窓から捨てたことで一連の犯行が発覚してENDです。
すごく言いたい。
赤子は激務の整形外科医が片手間に育てられるほど大人しくも静かでもないということを。
ミルクを飲んでゲップをさせて、静かに寝息を立て始めたー・・・みたいな描写があるんですが、そんな静かな育児は稀です。
テレビがあってお手伝いさんもいるマンションの一室で女児は育ちますが、男が言語を教えなかったので言葉を話せないー・・・とか。
成長してからも、外界に一切の興味がなく今日も音楽を聴いて男の帰りを待つー・・・とか。
外を行き交う人々を眺め、窓辺の花を愛でてー・・・とかも(以下略)
食 人男の犯行に至っては、
自分の元妻をサツ 害して食し・近所に住む家族の赤子を誘拐してかつその赤子の母をまたまたサツ 害して食べ・さらに攫った赤子が小学生ぐらいに成長するまで事件が発覚しないという非現実を補うだけのリアルな描写が足りない印象でした。
そう言う意味ではグロ苦手な方でも読めると思います。
【▼カニ バリズムの先にある、究極の快楽の世界を覗き見たい方必見。】
【▼某・蒲生稔の犯行はこちら。「サツ 戮に至る病」のネタバレ感想です。】
【▼ カニバリズム論とは・・?気になるタイトルです。】
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