【▼主なあらすじ】
カッパ三兄弟と最強の男子小学生の戦いをグロテスクに描いた飴村行のデビュー作。
閉鎖的な田舎の村、妖怪と人間の友情、グッチャネ、豚嫁折檻、拷問用幻覚剤”髑髏(どくろ)”・・。複雑に絡み合う人間の業が、さらなる凄惨な事件を呼ぶ。
第15回日本ホラー小説大賞長編受賞作。
【▼以下は雑なネタバレ感想です。先に小説を読んでからネタバレを見てね!】
かの有名な「グッチャネ」が戦慄の意味不明ワードとして一躍名を馳せた、飴村行氏によるエログロホラー小説です。
言葉の意味はわからないけど、なんとなくグッチャネしたくない。グッチャネしたら死ぬ気がする。
しかもグッチャネする相手は河童です。
【▼黄桜のCMみたいなきれいな河童ではなくて、】
【▼コッチのほうです。】
画像はyoutubeよりお借りしています。
三章から成るこの小説。
第一章は村外れに住むカッパ三兄弟が、村人たちから凶漢・雷太のサツ害を依頼される場面から始まります。
このカッパたちがもう怖い。ゆるキャラ的な感じじゃなくて、リアルで尻子玉を抜いてきそう。
しかも妖怪特有の怪力の持ち主で、かつ性欲旺盛。
カッパたちはDTでもあって、人間との性行為に異常な興味があります。サツ害依頼を請け負う代わりに、グッチャネする相手をあてがえと村人に迫る。
カッパ三兄弟の標的は最強の小学生・雷太です。
雷太は身長195cmの体軀で、大人をも軽々と半ゴロしにする暴力風雲児。キレると見境のない雷太は村人に恐れられています。しかし性欲に支配されていないだけカッパよりマシとも言える。
【↓私の中では雷太のビジュアルは完全に花園垣です。(浦安鉄筋家族より)】
画像はamazonさんよりお借りしています。
カッパ次男とカッパ三男は雷太を発見し、二人がかりで倒そうと目論みます。
しかしめちゃ強い雷太、カッパ次男とカッパ三男を返り討ちにします。この死闘で雷太は脳が飛び出る(!)ほどの重傷を負いますが、根性で生還。
その後雷太とカッパ長男は、お互い顔を知らない状態で出会います。強い者同士、意気投合する二人。雷太とカッパ長男の間に友情が芽生えますが、二人はお互いが宿敵であることを知りません。
第二章では、女学生が非国民の烙印を押され日本軍にごう問にあうシーンがあります。「髑髏(どくろ)」と言う幻覚剤を飲まされ、幻想の中でリアルに処刑されてしまうのです。
最初に処刑された女学生は首チョンパの刑だったのですが、正直これが一番マシ。
斬首した断面から昼食で食べた蕎麦が出てくるという謎現象が起きて嫌な気分になりますが、処刑レベルで言えば前座です。
二番目に処刑される女学生はかなり悲惨な目に遭います。刑を告げる男が
「まむしっ!」と叫んだときの不穏な空気よ。まむして。
串刺しの刑の俗称なんだってね。ホラー作家はなぜか串刺しが好きだよね。
串刺し描写では右に出るものがない友成純一氏著書の獣儀式ですが、飴村氏の串刺し描写もなかなか気合が入っています。肛門から槍がぶちぶち入ってくるのでグロ苦手な方は注意。
そしてここでもやはり昼食の蕎麦が口外に出てきます。
とりあえず体内から蕎麦が出てきたら優勝、みたいな雰囲気です。
【▼躍動感あふれる串刺しの刑が読みたい方はコチラ!私の感想はこんな感じ。】
第三章の豚嫁折檻(ぶたよめせっかん)においては、もうあまり説明することもありません。「こんな性癖があるんだ〜」ぐらいに留めておきましょう。
しかしこの事件が雷太暴走の根底にあるものとなり、さらに壮大なラストシーンへと向かいます。
ちなみにこの小説のラストシーンは、雷太とカッパ長男がお互いを宿敵と知って、相対する場面で終わります。
息つく暇もないほど登場人物たちの業を目の当たりにさせられる小説ですが、読後感は意外に良い。
登場する人物たちがほぼ全員と言っていいほど邪悪なので、誰が誰によって血祭りにあげられても特に胸が痛みません。
無駄にリアルな飴村氏の文章は読みやすく、かつ話の展開もスピーディー。最初から最後まで血生臭い場面が続きますが、さらっと読めてしまいます。
オススメです。
【▼グロファンタジーというジャンルがあるならそれに相当する小説。3時間ぐらいお時間がある方はぜひ。】
【▼粘膜シリーズってなんだよ!個人的にはデビュー作の粘膜人間が一番好きです。】
【▼こちらは可愛いカッパです。グッチャネしたいとか言ってこないのでご安心ください。】