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嫌な姑を書かせると右に出るものなし!宇佐美まこと著【るんびにの子供】ホラー小説 ネタバレ感想

ホラー作家・宇佐美まこと氏による、5つの怪異譚です。

第一回『幽』怪談文学賞短編部門大賞作。

 

以下は表題作「るんびにの子供」のネタバレ感想です。未読の方は、ぜひ先に本作を読んでくださいね。

 

「るんびにの子供」

るんびにという幼稚園に通っていた主人公が、その時から長年、子どもの幽霊に付きまとわれるお話です。正直あんまり怖くないけど、不気味な感じの小説dayo!

 

付きまとう子どもの霊の説明が長いわりに、物語の前半と後半の色が違いすぎて、お話として繋がりにくい部分がある。

物語の前半は謎の子どもの霊との出会い、そして後半は不快な姑への復讐劇なんですよ。

ちなみに子どもの幽霊と姑の接点はなく、全く別のお話として進行します。

 

るんびに幼稚園の四人の子どもたちが遭遇した子どもの霊ですが、その後主人公を除く三人に異変は起こりません。子供の霊に付きまとわれるのは主人公だけです。

とにかく不愉快な人物像を書かせると真骨頂を発揮する作者さんなのですが、モブたちは無駄に描写が細かくて、結局何も繋がりがなかったパターン多し。

 

「手袋」

気持ち悪い妹の描写に八割の時間を割いたホラーサスペンスです。

あとの一割は潔癖な姉、そしてもう一割は妹の傀儡と化している存在が不快な家族についてです。

あまりに気持ち悪い妹の描写が仔細すぎて、肝心の被害者の怨念がこもった手袋は怖くないと言うパラドックスを生んでいます。

 

「キリコ」

個人的には好きなタイプのホラーです。

呪殺のお話ですが、それをマクドナルドで話しているのが若者ぶった老婆二人という絵面が不気味です。当の呪殺者、キリコよりも際だった嫌悪感があります。

 

ちなみにるんびにとは・・・

ルンビニー(Lumbini)とは、お釈迦さまのお生まれになった所の名で、インドとの国境に近いネパールに、その遺跡があります。 そこは花咲き、小鳥のさえずる美しい花園であったと伝えられています。

▼こちらも宇佐美まこと氏のホラー短編集。「角の生えた帽子」の方がより恐怖が洗練された印象があります。私の感想はこんな感じ。

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