もしも不測の事態が起こって街が暴徒と略奪の地獄と化したら・・
2022年公開のメキシコ映画(86分)。
誰も幸せにならないし、精神が不安定な時に観ないほうがいい。
善良な市民が暴漢や悪徳役人にズタボロにされて殺される映画です。
最後は一部の悪い奴らも処刑されますが、口封じ感が半端ないし、根底にある問題が何も解決されないまま終わります。
【▼以下は雑にネタバレしていますので、未鑑賞の方は気をつけてね!!】
メキシコの上流階級(超お金持ち)たちの結婚パーティーが開かれる。屋敷で働くボディーガードやメイドたちはみんな有色人種です。なので、有事の際は雇い主たちを簡単に裏切る。
メキシコでもやっぱり白人系が裕福なのかなと思わせる人種の構図です。
自分の母親とおしゃべりしながら普通にトイレを開け放っておしっこする娘(ハタチぐらい)。金持ちなんだけどなんか下品。
結婚パーティーは滞りなく行われるが、ゲストが空港で問題があってなかなか来られなかったり、キッチンの蛇口から緑色の水が出てきたりと不穏な空気が漂い始める。
そんな雰囲気の中、かつて屋敷で働いていた使用人のお爺さんが尋ねてきます。自分の妻が病気なので、病院に支払うお金が欲しいらしい。
お金持ち達は基本優しいので、いきなり門前払いとかしない。お爺さんに結構な額を渡して、帰るよう促します。
しかし「これでは足りない」としばらく引き下がらないお爺さん。
結局追い出されますが、主人公のマリアン(富豪の娘)はこっそり屋敷を抜け出し、お爺さんにお金を渡そうとします。
しかし街は阿鼻叫喚の地獄と化しており、さっそく暴徒たちに襲われるマリアン。そのころ屋敷には、大量のデモ市民たちが敷地に侵入していました。
ボディーガードは金持ち側ではないので、あまつさえ暴徒達を屋敷に引き入れる手伝いをする。なんて言うか、人間性がクソな人が多い。
デモ隊たちは屋敷内のゲストのお金持ちたちを制圧し、殺し、略奪していきます。
使用人たちは、ニタニタ笑いながら一緒に略奪行為をする。身も心も貧しい奴らが屋敷をめちゃめちゃにする様に、だんだんしんどくなってきます。
街は暴徒によって略奪の悪夢へと変わり果てる。マリアンは使用人の青年と、彼の母親の家に逃れますが、兵士に見つかって連行されてしまいます。
拘束されたマリアンは、他の女性たちと一緒に兵士にレ○プされてしまう。
人間は秩序がなければ、野蛮な獣になり果てるという恐ろしい事実を突きつけられます。
一ヶ月が過ぎるころ、マリアンはボロボロになりながら身代金要求のビデオに出演させられていました。軍の施設内では恐ろしい拷問が行われ、人質達は日々命を脅かされています。
マリアンと婚約していた青年の母親は、もうマリアンのことを忘れろと言う。金持ちの非情な姑怖い。
マリアンの家族はマリアン救出のため、警察のコネを使うことにする。コネあるんだ!?なんでもっと早く使わなかったの?
同時に、マリアンの使用人の青年と母親も、この一ヶ月、マリアンを救うため働いていました。軍の兵士に、マリアンを助けたければ金を持ってくるように脅されていたのです。
度々兵士に金を渡すも、マリアンが解放される気配は一向にありません。そうこうしているうちにマリアン家族のコネが発動し、軍の長官がマリアンを発見します。
そして兵士たちがマリアンを拉致監禁し、さらに使用人に金を要求していたことがわかるのです。
部下達の不手際を知った長官は、口封じのため関わった部下を皆殺しにし、さらに全ての罪をマリアンの使用人親子になすりつけ、青年とその母親を処刑します。
マリアンや他の人質達は一旦解放されますが、口封じのため解放先ですぐに殺されてしまいます。
誰も救われないし誰も幸せにならない。理不尽な映画です。
タラレバなんですが、もしマリアンが元使用人のお爺さんの家にお金を渡しに行かなければ、こんな最悪な結末にはならなかったんじゃないか・・と思ってしまう。
【▼本当に最悪な結末の映画なので、精神が健康な時の鑑賞をおすすめします!】
理不尽つながりで、櫛木理宇氏の小説・残酷依存症を思い出しました。
鬼畜によって善良な人々が尊厳を破壊された挙句、虫けらのように死に、その鬼畜たちも皆殺しになるのですが、無意味な残虐の連鎖に茫然自失します。
【▼櫛木理宇氏の監禁依存症。理不尽とサイコが合体しためちゃ怖小説です。】