
【あらすじ】
学校蝙蝠が夜市の発生を知らせる。
数年前、不思議な市場【夜市】に迷い込んだ少年は、そこで” 野球の才能 ”を買う。野球の才能と引き換えに、あるものを売り渡して・・。
日本ホラー小説大賞受賞作、恒川光太郎氏による珠玉のホラーファンタジー。他一編収録。
かの有名なホラーファンタジー小説、夜市のネタバレ感想です。未読の方は先に小説を読んでからネタバレを見てね!!
千と千尋の神隠しとか、きさらぎ駅の世界観が好きな方はハマる小説です。
他に一編収録されていますが、こちらもテーマは人外の異世界。
しかし人外と言っても人間を貪るオークとか、残虐の限りを尽くす鬼とかは出てきません。
出てくる物の怪は一つ目ゴリラとか何かの神様とかです。
あくまでもふわっとした不思議な世界のお話なので、ホラーやグロ苦手な方でも大丈夫。
自分的に分類はホラーではなくファンタジーです。
【↓以下は雑なネタバレです。未読の方は先に本編を読んだ方が楽しめるよ!】
夜市という名の異空間で野球の才能を買った兄。その対価として実の弟を差し出してしまいます。
月日はたち、成長した兄は再び夜市へ赴き、弟を救出しに行きます。
結果、弟は無事で夜市から脱出できましたが、老紳士になっていました。
自分が兄に売られたと分かった瞬間、他の商人と取引し、若さを失う代わりに自由を手に入れたんだそうな。
弟、強えぇ〜!
弟を売った兄は弟を救出した安堵感から虚無になり、夜市に留まることを選びました。【完】
もう一つの短編、「風の古道」は神々の道に迷い込んだ少年のお話。
こちらもよくできていて、なんとなくラノベっぽい雰囲気です。
この作者さんはファンタジーの世界観に強い。
ともすれば嘘っぽい印象になりがちな異世界をまったく違和感なく書くので、サラサラ読めます。
先ほど神々の道に迷い込んだ少年の話と書きましたが、正しくは、神々の道に住むガイド役の青年の話です。
ガイド役の青年がとても魅力的に書かれていて、ともすれば果てしない旅で飽きてしまいそうな内容をテンポよく書き切っています。
登場する物の怪や神々が、なんとなく千と千尋っぽい雰囲気。優しいし害がないんだよね。
出会うとガチで食い殺してきそうな妖魔とかは出てきません。
それからこの辺がちょっと漫画っぽいんですけど、人間界の殺人鬼が唐突に神の道に入り込んできて、ガイド役の青年と戦い出すんだよね。
しかもガイドの青年の名前がレンなんよ・・。(別にいいんやけども、神様の道のガイドやから勝手に古風な名前だと思ってたよ。エンゾウとか玉吉とか。)
あと、夜市と風の古道は世界がつながっていたりします。
夜市の声を聞けるものは風の古道にも入れる、みたいな。きさらぎ駅とか好きな人はハマる世界観だと思います。
