おすすめミステリー小説紹介にはだいたい名前が挙がる、宮部みゆき氏の王道サスペンス・ミステリー小説、火車。
ホラー小説レビューのカテゴリーに入れてしまっていますが、全くホラーではありません。
以下ネタバレしているので、未読の方はぜひ本書を読んでからブログを読み進めてください。
読むのしんどかった・・。すごい長かった・・。
なんか思ってたんと違う感じの小説だったので、余計に読み進められなかったのかもしれない。
もっとこう、うわ〜借金怖いいぃ!カード地獄ダァー!!みたいな小説(どんな小説やねん)かと勝手に思ってたんよ。
まあ怖いは怖い小説なんだけど、常識的な怖さ?です。ウシジマ君的な病的な怖さを期待してしまっていた。ジャンルが全く違うことに気づいていませんでした。
読了しての感想なんですが、主人公の本間刑事及びその周囲の男性陣が、美しい加害者・ 喬子(きょうこ)の心情に気を取られすぎな気がする。
喬子の過去やその心情に関わる借金地獄などが物語の大部分を占めているので、彼女が起こした恐ろしい事件(バラバラサツ人と放火サツ 人・身分乗っ取り)のインパクトが疎かになっているような印象を受けました。
借金の取り立てが怖いから無関係な人をサツ 害してバラバラに解体するって、元から狂人設定でもない限り無茶じゃないですか?
物語中では、喬子は高校生の時にサラ金に家庭崩壊させられたため、犯罪でも何でもして絶対に逃げ切る!と言う強固な心が生まれた〜きょうこだけに〜的な説明がされていますが(すいませんふざけました)、
そのために何の恨みもない女性を放火でサツ 害するという方法が恐ろしいし、
むしろもともとこうした狂人的な性質を持つ人間が追い詰められて、必要に応じてターゲットを選び、無慈悲にコロ したのでは・・という印象を受けます。
実写版では、犯人の喬子役を佐々木希さんが演じたんだってね。
確かに佐々木さんだったら刑事はじめ男性陣が心を動かされるのも納得できる(力強く)。
ただ、この作品に借金の恐怖や金融地獄のようなテーマを期待して読んでいた身としては、「美しい加害者を眺める男たち」色が強いような気がした。
あまつさえ幼なじみの彰子(しょうこ)がコロされ、怒りに燃えていた保でさえ、最後には加害者の喬子の肩に手を置いて物語が終わります。で、どうなるのこの後!?って思うよね。
警察手帳を持たない主人公の刑事がめっちゃ多くの有力な情報を得られるのも、少し無理があるように思ってしまう。普通ならもっと警戒されて不審者扱いされるよね・・でも小説だからそこはオッケー👍なのかな?
とはいえ、この作品は30年以上前に書かれたもの。
当時としては新鮮で、カード破産や住宅ローン地獄というテーマも斬新だったと思う。
それを踏まえて読むと、この作品の魅力が少し違った形で見えてくるのかもしれないな・・と思いました。【完】
【↓ハマる方には、息つく暇もないほどスラスラ読めてしまう王道ミステリー。この年末年始の読書にいかがでしょうか。】
【↓ 宮部みゆき氏と言えば、模倣犯。】
- 価格: 1045 円
- 楽天で詳細を見る